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[育親]松永美樹さん

「子どもが自然に集まってくるところになっていればいいな」

松永さんが、「子どもの村」に応募したきっかけはなんですか?

私は、長崎に住んでいたんですけど、ある日、長崎新聞に、福岡の「子どもの村」の本当に小さな記事が載っているのを偶然みつけたんです。これが決定的なきっかけでしたね。
私は、看護師だったんですが、子どもが大好きで、ちょうどその頃、子どもと関わるようなことで、自分ができることはないかな、ということを考えていた時期だったのです。それとその小さなコラムの情報がぴったりと合っていたんですよ。
私のなかでは、子どもは、家庭のなかで、また社会のなかであたたかく育てられるものというイメージがありました。また、都会より田舎が好きなので、自然のなかで子どもを育てたいな、というイメージがあったのです。
とはいっても、自分ひとりでできることは限られているなと思っていたときなので、「子どもの村」という存在を知ったことは、とても大きかったです。
自分だけだったら、今とても、こんな状態にはないですね。


看護師をされていたということですが、そのときのお話しをお願いしていいですか?

私は、20年間ぐらい看護師をやってきたんですけど、最初の10年くらいは、子どもの生育が遅れているとかの問題があるのではなくて、病気がなおれば家庭に帰れるという子どもたちだったので、それほど、子どもを巡る社会的な問題についての意識はなかったですね。ただ、子どもが大好きで、子どもと関わる仕事がしたいという気持ちはこのときもありました。
後半は、産科や精神を病んでる子どもの病棟で働いていたんですが、お母さんの環境とかを考えると、生まれてくる子どもがどうなるんだろうと心配になったり、虐待を受けた子どもたちや発達障害をもった子どもたちを見たりしていくなかで、問題意識が徐々にでてきました。
そういう子どもを見ると、やっぱりつらいですよね。どれが本当のその子なんだろうというのは、すぐには分からないんです。コミュニケーションをとろうと思っても、なかなか本当のやり取りができるような状況でもないんです。
ただただ、近くにいて、ボーと一緒にいるとか、悪態をつかれて、「あっち行け」と言われたりして、でもあとでそっと近づいて行くとか、そういうことぐらいからしか始められないんです。
そういうことの繰り返しだったし、多くの子どもたちは、私がいる間、ほとんど変化はありませんでした。この子は、一体どうなるんだろうか?自分を取り戻せるんだろうか?と思いました。
長い時間が、かかるんだろうな、と思いましたね。


松永さんにとって、一番大切なことはなんですか?

子どもがいる環境のなかで、生きていく、ということかな。
自分にとって、子どもは、生きて行くためのエネルギーなんです。
自分がどういう人間か、というのは、自分が育てた子どもを見る事を通じて、遠くからだけど、分かるんじゃないか、と思います。
もちろん、自分の意識を押し付けるという意味じゃないですけど。
子育てについては、子どもが安心できるためにも、自分がまず心地よくないといけないなと思います。そして、子どもが安心できるところ、それから、温かいごはんと楽しく遊べるスペースを作るということを大切にしたいと思います。


子どものどういうところに、エネルギーを感じますか?

子どもが、成長するエネルギーでしょうか。
自分の目の前で、知らず知らずのうちにいろいろなことができるようになるが、うれしいですね。例えば、ソファーに自分では登れなかったのが、いつの間にか登って、降りれるようになったり、スプーンを使えるようになったり、一つ一つの成長のエネルギーですね。
あとは、いろいろ違う場所にいっていても、私のところに、最終的に戻ってきて、ほっとした顔をしてくれるとか、笑ってくれるとか。「私のことを基地として思っているんだな」と思うと、幸せな気持ちです。こういうのは、病院のときにはなかったですね。
こういうことを自分の仕事として、やっていけるというのは、とても幸せだと思います。仕事というと、少しおかしいですけどね。これから、子どもの人数が増えると大変になるでしょうけど、その分、2倍、3倍のものを貰えるんじゃないか、と思っています。


子どもは、どういうことが好きなんですか?

よく、好きな絵本とかを持ってきたりするんですよ。それで、繰り返し、繰り返し読んであげるんです。たとえば、「星の王子さま」とか、灰谷健次郎さんとか。
なんでこんな字が多い本をもってくるんでしょうね?ストーリーとか、文章の意味は分からないんでしょうけど、絵に魅かれているんでしょうか?例えば「王子様は草の上に突っ伏して泣きました」という文章の下に挿絵があると、自分でもそこに入って行って、エーンと泣いてみたりとか。ほんとに、好きなんでしょうね。


ここ、「子どもの村」での生活は、いかがですか?

まわり全部畑だったりするので、今津の方に、旬のものを届けていただいたりして、本当にありがたいです。
今津には、自然と人とのつながりがありますね。お祭りがあったり、自然があったり、自分にとっても、子どもにとっても、いいところだな、と思います。
「子どもの村」は、今は、軌道にのるための時期かな、と思います。今は、困難なものを一つずつ乗り越えて行く時期じゃないかと。ある程度、軌道に乗るまでには、5年くらいはかかるんじゃないかと思います。
正直なところ、「子どもの村」に対する世間からの期待感がとても強くて、緊張感、プレッシャーを感じます。だからといって、自分が頑張りすぎたりすると、これはまた、子どもにとってどうなの、とも思います。
こういうことをコントロールする力が、大切だと思いますね。
子どもを一番に考えるというができるためには、自分が見えてないといけない。そのうえで、家だとか、周りだとかをコントロールできるようになるといいですね。
でも、これは、今、ここにこうやって立つことができたからこそ、見えてきたことで、以前は、全く分かっていなかったことなのです。これから、学んで行けば良いと思っています。


5年後に「子どもの村」はどんな感じになっていればいいと思いますか?

今は、やっぱり「子どもの村」には、枠みたいなのがある気がしますね。「子どもの村」の松永家ではなくて、今津のなかの松永家とかいうことになってるといいな、と思います。境目がなくなっているというイメージです。
例えば、今は、宅配の人などに、場所を教えるのがなかなか難しいんです。で、「あのモデルハウスみたいなところです」というと分かってくれるんですね。
5年後には、朝になったら、子どもがぞろぞろと出て行って、学校から帰ってくるときは、いろいろな子と一緒に帰ってくる、みたいな感じになればいいと思います。
ここが、子どもが、自然に集まれる、というか、自然に集まってくる、そんなところになっているといいと思います。子どもが、自然に集まって、夕飯になると自然にそれぞれの家に帰って行く。とにかく、子どもが沢山いるというイメージですね。
本当にそういうことができたら、素晴らしいだろうなー、と思います。


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